第三十七夜、浮遊物体
〜アメリカだったらケンキュウされちまうんだろうな。そんな「時期」が私にはあって、幼稚園年長のときと、小学校2年生のときの各1年くらいずつなのであるが、どんな時期だったかって、それは変なモノを見る時期だったということだ。前者は所謂お化けカンケイである。誰に言っても信じてもらえない「のっぺらぼうとタイムスリップの話」は後にとっておくが(もったいぶってんなー)、これは後者のほうで、UFOブームのころだったかどうか覚えていないが、一寸ズレていたと思う。
◆一回目。
家族全員がベランダで。
形状:うす蒼いぼんやりとしたかなり大きな灯りで、皿を横からみたようなつぶれた餅型
音:ぶーん、と聞こえたように思う。
時間:かなり長い。ずーっとゆっくり東から西へ流れていった。天気はやや曇り。
特徴:ここがポイント(試験には出ない)
当時の私の頭で小文字のx(エックス)と捉えられる文字・・・それが、「物体」の腹部にくっきりとかかれていた。幼稚園のときから何故か私はX(エックス)という文字に執着があり、「ごっこ遊び」のときは自分をX(エックス、ペケではない)と呼ばせていたのだが、今考えると、染色体の形をぎゅっと押し込めたような有機的な形にも思える。王様の「王」を歪ませたように見えなくも無い。全体が光の塊のようなものだったから明瞭ではなかっただろう(そのへんの記憶は可成曖昧だ)。但しこの文字、私以外見えなかった。しかもこのときの記憶が家族でまちまちだったりする・・・(逆に怖い)
その後、夜、UFOだ、と言って外へ出ると、黄色い光の粒が出ることが「たまに」あった。もう詳細は覚えていないのだがひとつだけ日記にかいたものがある。
◆数回目。
ひとり、庭で。食後不意に外へ出たくなった。
物体:はじめは点だったが、うす蒼白い半透明のクラゲ状のものに肥大。上半分が丸く、下側は垂れ下がったいくつかの太く短い足状のモノで構成。「クラゲ」のイメージが凄く強く残った。
音:なし
時間:怖くてすぐ家にひっこんだので不明。ちなみに、天気は雨の降りかかったかなり重い曇りだった。
特徴:
というかびっくりしたのが、その1年後、オーストラリアで写真に撮られたクラゲ型UFOというのが雑誌にのっていて、その形がほとんどそのまま、だったことだ。
「1年かけてオーストラリアまでいったんだー」
なんてアホなことを思った反面、
あれは夢じゃなかったというカクシンを持った。
◆最後の回。
このとき以来、私は未確認飛行物体を一度も見ていない。
ゆえに「夢のような」記憶だけが残っている・・・。
3年生のときだった。家族の寝室が東方向に視界のひらけた場所にあって、先にひとりで寝床についた夏の夜。寝転んですぐのこと。
開けはなった窓から星が沢山見えた。おもむろにひとつの大きな星が、下の方向へと動き出した。シリウスくらいの黄色い星でかなり強い光だったから、人工衛星だと思ったら、いきなりジグザグに動きはじめた。
そんなものははじめてみる。声もたてずひたすら凝視していると(目を離すと消えるかもしれないと思った)、木の葉が舞うような変な動きだとか、如何にもUFOっぽい複雑な動きをしながら、ちらちらと下のほうへ動いていくのである。色も少しずつ変わっていた。左に二つ、同じように明るい星があった。落下?していく物体が、その二つの星と丁度正三角形を結ぶ位置に近付いた瞬間、
ひらり、と舞うように、一瞬こちらへ
「接近」した。
その「接近」した姿に恐怖した。
形:半円形の黄色い有機的な「物体」
特徴:
当時の私の頭で小文字のx(エックス)と捉えられる文字・・・それが、「物体」の腹部にくっきりとかかれていた。幼稚園のときから何故か私はX(エックス)という文字に執着があり、「ごっこ遊び」のときは自分をX(エックス、ペケではない)と呼ばせていたのだが、今考えると、染色体の形をぎゅっと押し込めたような有機的な形にも思える。王様の「王」を歪ませたように見えなくも無い。全体が光の塊のようなものだったから明瞭ではなかっただろう(そのへんの記憶は可成曖昧だ)。
・・・そう、冒頭の「第一回接近遭遇」と同じ文字が描かれていたのだ。
しゅん、と一瞬だけでまた縮まり、今度は余計な動きをせず、ゆっくりただ下の方向へと動く「黄色い星」になっていた。そして、左のふたつの星と正三角形を形作ると、
みっつとも消えた。・・・
頭のなか:
「サ ヨ ナ ラ」
ときこえた・・・!
今でもぞっとする。
テレパシーなんて余り信じないが、これはテレパシーなのだろう。
あれは「生き物」だった。宇宙人とかそういったものではなかった。少なくともそういう感覚だけをのこして、そのご一切、私の目の前に「見知らぬ浮遊物体」が顕れることは無かった。
そしてこれからも、きっと。
理由はわからない。
怖いから?
・・・アブダクションじゃねーよな・・・