2006年03月10日

ウェールズの伝説的怪奇現象

ITV1 Walesが2月27日に放送したそうだ。見たいものだがとりあえずネット記事からサマリを拾ってみよう。古いケルトの伝説色濃い地域の話。ウェールズ、アイルランド、スコットランド、およびブルターニュの伝承を中心に、吟遊詩人と歌手にいざなわれ番組は進行していくものとなっているという。かかわった人の中には今回初めて超自然現象と呼ばれるものを体験した者もいる。プロデューサーのネヴィル・ヒューズ氏もその一人だ。

ウェールズのテッジー、魔女他

Tryst Williams, Western Mail

ヒューズ氏は超自然現象に関する番組制作にあたって不可解な出来事に出くわし、こういうものへの見方が変わったという。説明のつかなかった出来事はいくつもある。

・the Pontrhydfendigaid witch, Mari Berllan Biter魔女マリ・ベルラン・ビター

ウェールズの伝説によると、マリ・ベルラン・ビターは19世紀にカーディガンシャーの農場に現れた。彼女は腕に空の籠を提げて食べ物をねだる。彼女に食べ物を与えなかった農夫は翌日、貯めていた牛乳が固まってしまったり、家畜が死んでいるのを見つけるのだ。この伝説を証言者が語る場面でのことだ。「編集作業を行っているとき、突然どこからか雀蜂の大群が襲ってきた。そして消えた。この真冬に雀蜂がいるなど考えられず不可解だった。どこにも見つからないだろうと思いながらも雀蜂の巣を探しに出かけたが、その通りだった。」音響技術者も背後で雀蜂の羽音を聞いたが、振り向いても何もいなかったと証言した。「魔女は全てのものの姿に変身することができるという・・・何が起こったか誰か説明できるのだろうか?」「このシリーズに取り組む前、私は超自然現象を信じていなかった。けれども今はその信念が揺らいでいる」

・神秘家の二度の警告

アイリッシュ海を撮影しているときのことであった。アイルランド人の元僧侶が未知の生物を敬い、干渉しないように警告してきた。その後、異変が起こり始めた。アイルランド人の女性がSliabh Na Mbanの角で突かれた魔女の話をする場面を撮影した。ところが何ら技術的理由もないというのに、このインタビュー場面は撮影できていなかった。

・「死体蝋燭」corpse candles現象

これは別名「死の前兆」。アストウィスバレーから来たBlodwen Griffithsが目撃証言を行っている。

<参考>Corpse Candles死の蝋燭

ウェールズその他イギリス各地のフォークロアに見られる「死の予兆」のこと。Corpse Candles「死体の脇に置く蝋燭」はウェールズ語ではcanwll corfeといい、地面からふわっと浮いて家やその他の場所・・・死の訪れる場所で止まるミステリアスな灯である。同じようなものがアイルランドや北イングランドではfetch candlesと呼ばれている。死体のはなつ燐光に似ているが、まるで蝋燭の炎を遠くから眺めたように見えるところが異なっている。死の蝋燭は夜空を漂いゆくところを目撃される。その信じられている意味は場所によって異なる。パーティの現場で目撃した場合、それは誰か最愛の人の死、もしくは他の誰か参加者の死を警告するものだと言われている。死に運命付けられた人の家と、彼の墓を結ぶ路上に現れるとも言われる。イングランドのサウス・ハンプシャーでは去り行く魂に付き添うものとされ、魂がこの世から去ると共に消されると言われている(訳注:まるで落語の死神だ(あれは結構新しい創作らしいから影響関係があるのかもしれない、これは詳しいサイトがあるので興味があればぐぐってみて)。「幽霊の葬儀」はいくつかの灯を伴うと言われている。

ウェールズの口碑では、死の蝋燭が小さかったり、薄かったり青かったりするとそれは幼児の死の前兆とされる。大きいものは大人の死の前兆だ。死の蝋燭の数は間も無く死ぬ人数をあらわしている。蝋燭に近寄ろうとすると消える。死の蝋燭はウェールズ沿岸地域に広く報告されている。(「ゴースト・ライトとオーブ」より)


・代表的な怪物「テッジー」Teggie(the Llyn Tegid (Lake Bala) monster)

ネス湖のネッシーに相当するウェールズの怪物リーン・テジーもしくはバラ湖の獣は少なくとも1920年代から語られ始めクロコダイルや小さな恐竜に例えられている。balaから来たDewi Bowenがバラ湖の怪物の目撃談を語っている。1995年に三日間をかけて日本の撮影班が解明に取り組んだ。しかし彼らの小さな潜水艇は何も見出すことができなかった(訳注:恐らく当時TBSが一押ししていた無人探査艇のことだと思われる)。しかし地元にはスコットランドがネッシーについて行ったような大々的な宣伝活動には慎重な意見が多い。ウェールズ旅行社はベルギー、ドイツ、フランス人を対象にした宣伝パンフレットにこの伝説を載せたが、細心の注意を払ったと主張している。専門家ライオネル・ファンソープはウェールズにはディラン・トーマスのような人物の遺した豊富な歴史的遺産があり、殊更にこのたぐいの伝説を持ち出す必要がないのだと言う。旅行者にはそれらで十分というわけだ。「存在するかもしれない。バリー島に鰭や尾の一片が打ち上げられでもすれば存在を信じざるをえないがね。」

その他、いくつかの伝承について番組では触れている。

・ドラゴンたち

ウェールズのレッド・ドラゴンは民間伝承とアーサー王伝説の混合したもののように見える。物語は5世紀に魔術師マーリンが2匹の獰猛なドラゴンが争い最後に白いドラゴンを赤いドラゴンが打ち負かす夢についてヴォーティガン王に語ったということになっている(訳注:マーリンはヴォーティガンの城塔の崩れる理由を地下でドラゴンが争っているせいだとした)。これは当時のアングロ・サクソンの侵略者がウェールズ人に圧倒されるという予言として解釈された。

(以上てきとうに抄訳)