2006年02月27日
馬頭女の信仰

べつに思い付きだけど、養蚕の発祥をかたるうえで必ず前提とされる馬頭娘の話、本サイト怪物図録に書いておいたので詳説は避けるけど、ようは失踪娘を探した者に娘をやると話す親の言葉を聞いて用馬が娘を連れ帰る。親あやしんでこれを殺し生皮はいで木の枝にかけて乾かしていたところ、風にのってふわり降りた皮が娘を包み込み、そのまま天高く舞い上がり戻らなかった、かわりに蚕が降ってきて養蚕のはじめとなった、この日本ではおなじみなオシラサマ伝承の元が古代中国の地方伝説だったとすると、スサノヲノミコトが用馬の生皮をはいで機織り舎に投げ込んだというのも、この古い伝説の影響上に作られたものではないか?機織りが養蚕と結び付いていたもので(織るのは大神に捧げる衣だったはずだ)、家畜(土俗)神である神馬の生皮に霊力があり大神を汚すものであったことを考えるとあながちありえない話ではないと思うのだが。獣の皮を被り獣の力を得る神官スキンウォーカーにとってはトランス状態を得る小道具として獣皮は欠かせない。日本の民間土俗にそーいうものがあったんかも。生皮はいけにえの意味もあるかもしれない。専門家にしてみればあたりまえの話かもしんないけどね。

江戸時代には娘頭の突き出た馬皮包みが空飛んでる絵があって、逆馬頭観音って洒落なのかな、とも思ったりして。それは図像上の偶然の一致で江戸期の強引な結び付けだろうけど。ついでながら「馬頭女」という名は「馬の頭の女」という意味にとれなくもないし、本末転倒。それも当時の倒置的表現なんでしょうけど、ちょっと変。

なーんて。