自分の書いた絵に呪われる


今週は非常に調子が悪い。とくに今朝はまるで鉛のように体が重く、本当の金縛りとはこういうものなのか、と思った。原因はわかっている。先週からおびただしく書いているラクガキのせいだ。

毎年この時期はラクガキが増える。筆ペンを使い切るためである。それで別に書きたくもないのに何かしら絵らしきものを書くわけだが、そんなときはたとえばこのサイトの怪物図録にしてみれば「怪物名、及びいくつかの属性」から連想される姿を(まるで三題噺のような要領で)てきとうに書いていくだけで、ほとんど資料も見ず、当然説明書きも付けずに、となるわけで、たいてい寝床でテレビを見ながら、殆ど脳を使わずに書くわけである。

脳がからっぽの状態で書くために、何か些細なきっかけで変化をきたす。そのとき見ているテレビがお笑いなら戯画ふうになるし(ま大抵お笑いを見ているわけだが)、シリアスなら憂鬱な抽象画ぽくなったりもする。

だが、ごくたまに、きっかけも自覚もなく、突然筆が動いて何かを書いてしまうことがある。

自動書記に近いかもしれない。でも、ふつうああいうものは心を鎮めて無音無心で書くものだろう。私の場合は筆先だけが動いてしまう、まるでヴィジャ盤のように。

「ごんごろう火」のラクガキがそれである。



この額から目鼻と顎のライン、テレビに気をとられていて、ふと目を落とすと出来ていた。

気持ちが悪かった。「ごんごろう火を書こう」と思って書いたわけじゃない、ましてや全く何か明確なものを書いている意識はなく、でも直前に「妖怪談義」のまさにゴンゴロウ火を含む一連の文章を読んでいたからである。無意識が書かせたというならば、自分で一度そういうことを試してみてほしい。本を斜め読みしたあと、紙に筆を置いたまま、テレビに没頭して、その後下を見てみよう。こんな得体の知れない男の顔が書かれることがあるだろうか。怪物図録にも以前同じようなものを載せた。青い男が叫んでいるように見えるもの、このときと全く状況は一緒だ。あれはそのあと「命名」してやったのだが、その名も「スクリーマーズ」・・・なぜ複数形にしたのか?自分でもわからない。



こういうのを書くと余りよくないことがおきる。

あの青いラクガキはもう5年以上前に書いたものだが、ずいぶんといろいろあったおぼえがある。オカルト的なことではなく、まるでオーメンのダミアンの正体に気づいた人間の末路のように、「偶然」悪いことが現実世界で起こるのである。

今回はここ一週間、物凄く体調を崩した。さいきんこの方面・・・呪い・・・にめっぽう弱いということもあるが、とにかく毎日全く違う病状が出るのである。今日は脳ははっきりしているのに体がだるくて動かない、風邪のようにも思うが、いつものことで医者には何ともないと言われた。昨日は体はすこぶる調子がよかったが胃腸だけがなぜか食物を全く受け付けなかった。私はどんなに病が進んでも食欲だけは減退したためしがない(ダイエット中であっても)。こういうことは経験上殆ど無いのである。今日は胃腸が大丈夫なのに筋肉が動かず正反対。病気自慢してもしょうがないのでそれ以前の体調については書かないが、全くもって奇妙である。

有名な稲川怪談で人形の呪いの話がある。あれは当の人形師が死んでしまう事態にまでいたった。プロフェッショナルな人は魂を入れてしまうから、このような恐怖がついてまわることもあるだろう。逆に私のようにラクガキレベルで済ませていればラクガキレベルの呪いしか来ないものなのかもしれない。

それにしても調子が悪い。