2005年10月06日

かぐたばの後ろを飛ぶ翼手竜

もういいかげん恐怖映画「ノロイ」がオーソン・ウェルズの火星人パニックの跡を狙って製作されたセミドキュメンタリー映画「ブレアウィッチプロジェクト」のパクリで、かつ巷に溢れる数々の心霊ビデオのパロディ映画であったと公言してもいい時期だろう。ブレアウィッチの確立した映画における「メタ・リアル」の手法(それは完全なる嘘であり、現実に存在する「伝説」を「参考」にこそしているものの、全てまったくでたらめである)を、頃あいを見て再利用したにすぎない。しかしまあそれは置いておいて、このブレアウィッチの関係者が仕掛けた別の「メタ・リアル」な事件について知る人は少ないのではないか。ここに挙げた「南北戦争時代に撃ち落とされたプテロダクティル(翼手竜)」の写真に見覚えのあるかたも多いだろう。日本でいうUMA本にさかんに掲載された「最近発見されたサンダー・バードの写真」というしろものである。

ロレーン・コールマン氏はクリプトズーオロジィの世界では権威といってもいい未知動物研究家である。28,29日に開かれるシンポジウムでも講演予定であり、ベイツ・カレッジ美術館のクリプトズオロジィ展にも関与している。ちなみにこの展覧会は未知動物学をあくまで「動物学」ではなく、一種の「アート」として広く捉えるもののようであるが。氏は自身でも博物館を持っておりサイトからリンクも張られている。この中に、プテロダクティルスの偽造写真に関する記事が載っているので、ここに引用してみよう。

「南北戦争時代のプテロダクティル」

それは1990年代末に広まったネットの噂であった。この写真は古本屋で1970年代の超自然関連の本に挟まっていたのを発見された。長年、フォーティアン(不思議現象研究者とでも訳せばいいのか?)たちは「サンダーバード」と呼ばれるもの、1960年代に動物学者サンダーソンIvan T. Sandersonが目撃し回想したものの写真を探し求めていた。そして、この新たに発見された写真がサンダーソンの「失われたサンダーバードの写真」と関連があるのではないかという疑問が提起されたのである。しかし何かが間違っているように見えた。サンダーソンの話によるとサンダーバードは昔でいう西部のアリゾナのTombstoneもしくは他のどこかの家畜小屋の脇に鋲留めされていたという(訳注:このような形の写真も別に見つかっているらしいが、フェイクとされている)。しかしながらここで示された写真は南北戦争の軍人のグループによって捕らえられているように見える。南北戦争は1860年代の話だ。プテロダクティルの生き残りと共に南北戦争の軍人が、である。これが長い間失われていた写真で、多くの人に記憶されていて、しかし何十年の間一度も見つからなかった写真なのか?

 この写真はフロリダのオーランドにあるHaxan Production(「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の製作陣)の宣伝用ツールにすぎないと判明した。フォックスTVで放映される新しいフィクション作品「Freaky Links」に人々の関心を寄せるためのものだったのである。シリーズの最初の放映はフォックスTVで行われ、2000年に終了した。そこには知られざる研究家「デリック・バーンズ」という人物も描かれていた。写真は悪ふざけであり、プテロダクティルはFreaky Linksの二つのエピソードのために秘密に作成された模型であった。フォックスはこの模型によって作品を仕上げたが、好奇心をそそる未知動物の模型はロレーン・コールマンが入手し、現在、博物館収蔵品の一つとなっている。全長22フィート、片翼11フィートのものだ。