第63夜、ペンタグラム

ミステリーサークルの話を書いたが、古い雑誌をめくっていてふと我が大学にも
似たような事が起きていたことを知った。
記憶が定かではないが、1983年くらいと書いてあった。噴水のある池の前に、広く
芝生が敷かれており、そのまわりに校舎が並ぶ、という場所がある。
その芝生に突然、六ぼう星、又は「ペンタグラム」と呼ばれるマークが浮き出た
というのだ。
六ぼう星はユダヤのマーク、ダビデ王の紋章と呼ばれる。古来西洋では魔術的な
象徴、すなわち魔法陣と見られてきた(魔術との繋がりにユダヤ移民に対する差別意識は否定できまい)。正三角形をふたつ上下互い違いに重ねあわせた図形である。
子供に「星」を描かせてみよう。それも魔法陣である。すなわち一筆書きの五角形の
星マーク、五ぼう星、日本で清明印と呼ばれることがあるのは陰陽道との(おそらくは偶然の)繋がりがあるからだ。
この「ミステリー・ペンタグラム」は芝を茶色に枯らして浮かび上がっていたもので、
対角線約5メートルの大きさ。当時の大学を大いににぎわせたそうである。
薬物を使えば枯らす事は簡単だ。多分イタズラか、オカルトマニアのしわざだろう。
当時の大学は病んでいた。自殺者も多かった。そんな一エピソードだったという訳だ。