第61夜、畑の輪

「ミステリー・サークル」。古くは戦後から、日本も含む世界中の草地に出現するもの。
特に近年イギリスの南部で毎年夏に現れるもの、不可思議な形を数多く見せる。基本的には、
円形に麦などがなぎ倒されるもので、中には象形文字のような形を示すものさえ、1990年夏
より出だしたが、やはり信憑性が高いのは、単純な、しかし真円を呈するサークルと思う。
本物は偽物に比べてかなり真円に近く、麦はきれいに渦を巻いて、倒れる。倒れるといっても
本物は麦穂をまるでスプーン曲げのように「曲げ」るものだけで決して折ったり根を露出させた
りしないらしい。麦は倒れたまま成長し、そのまま刈り入れもできるのだという。そして円の
縁は明確で、きわに立つ外の麦は少しも折れない。
倒して円形痕をのこすものは、古くは「ソーサーネスト」と呼ばれた。その名のとおり、Flying
Saucer、すなわち円盤の着陸痕と考えられたものである。ただし、渦を巻いて麦を倒すものとい
うよりは、まるで強い風がまっすぐ地面に吹き付けられたように、中心から放射状に倒されるも
のが多かったように思う。そして何よりミステリー・サークルはこれら古いものがせいぜい直径
5メートルほどなのに対して、直径20メートルに達するのも普通である。このあたりに根本的な
違いがあろう。
円形痕には他に、円形に草が枯れるというのもある。UFOのせいにされがちだが、1990年に茨城
の牧場に現れたというものは、多分ミステリー・サークルを真似した誰かのいたずらだろう。
薬品を使えば枯らすのは簡単だし、5メートルくらいだったら造作も無い。かつてスイスのマイヤー
という人がUFOコンタクティと称して偽のUFO写真などを大々的に見せびらかしていたその中
にも、円形に草が焼けた「着陸痕」があったが、茨城のものはそれよりもズサンな円形をしていた。
だが逆に草がいつまでも生えつづける、という事象もあるらしい。周囲が枯れる時期に新たに芽が
出て、逆サークル状態になるという。放射能が検知されることもあるというがその影響だろうか。
日本テレビとBBC放送は、小さな光と渦状の(しかもサークルより一まわり大きかった)物体?が
現れるのをとらえ、翌朝現地にサークル出現を確認したと放送した(1990)。さらに真昼間、畑の
上空で高速回転する灰色の筒(霧?)もヴィデオにとらえ、サークルとの関連をさぐっていた。
サークル出現のとき、別の所にいた人が、現地の方向に光の霧の柱が立っているのを見たと言って
いた。
プラズマや竜巻(なんとかバースト)説をとることもできよう。特に灰色の回転する筒は竜巻と考え
られそうな気もする。竜巻はしばしば不可視な部分も伴うから、中途の部分だけがたまたま見えた
だけといえなくもない。
自然は何をするかわからない。うかつに宇宙人のせいにもできないし、かといってすべてを自然の
ものとするのも危険だ。現状を見るに、皆可能性をたった一つに絞りすぎている。自然+人為+X(
それが何なのかわからないが)説が自然だろう。(1991記)