第六夜、異界の者たち

江戸の初めの頃の話。伊勢の津に切支丹の信者がいた。江戸から命令が来て、逆さ吊りにして処刑されてしまった。その後津は乙部というところで火葬にしたが、二、三日あとの夕暮れ時に侍が二、三人連れで古河のあたりを通った。美麗の女がかづきを着、下女に袋を持たせて擦れ違った。侍たちはこれを見て不思議に思った。このような貴人は伊勢では余り見慣れない。何処から来たのだろう、とこっそり跡をつけだした。するとこの女、乙部の方へ向かう。そしてあの切支丹を焼いた、穴の側へ行くと、ひたすら骨を拾っている。すると又、どこからともなく下女を連れた女たちが二、三人やって来て、同じように骨を拾っている。

暫くそうしているうちに、女たちはポンと消え失せた。