第三十八夜、飛物二題

山鹿素行日記より。承応元年(1652)3月5日、亥刻(夜11時)西に赤光あり、大きさ盆の如く、上に亦赤色あり、大きさ杵の如し。此両光数々(しばしば)上下し、1時を過ぎ中天に至りて滅す。

安政の大地震のとき。根太板程の真黒なる物幾つとなく空中を飛廻りける。又、西北の空より馬のごときもの南の方へ飛行したり。江戸の頃は、暗い夜空に、さらに黒い漆黒の物体が動いていくことが、たまにあったという。