第三十一夜、生首の絵

目が開く。

・・・土曜日にテレビで「生首を描いた掛け軸の目が開いた」という、
有名な怪事件を扱っていた。「生首を絵に描く」という壮絶は如何に幕末
のすさんだ世の中とはいえ想像を絶するものがある。これを見ていて思い
出したのは、座敷ワラシで有名な某旅館を取材した地方テレビが、壁に掛
けられたつのだじろうさん描く「座敷わらし」を映したところ、”瞬きを
した”という映像である。何しろカメラにはっきりぱちくりする瞼がうつ
ってしまったのだから仕方がない。もっとも画像の揺らぎや空気の調子の
ためにそう映っているように見えた可能性も否定できないが、「中村金三
郎様」の四白眼めいた黒目に比べれば他愛のないイタズラのようでほほえ
ましい。金田一温泉と生首画を保管する寺は同じ青森県にある。