怪物図録4

タ行 /

ダキの化け物

水の妖怪。海女郎の地域版。こいつの出る場所は決まっていて、夜間は誰も近付かない。

タテクリカエシ

江戸の夜坂にはよく物が転げたようだ。

狸火

「夜話」のほうを見てください!

ダブル

ドイツのドッペルゲンゲル。世に自ずに似る者三人あるというが、これは江戸の離人(魂)病そのものだ。大抵死前のこととされる。

打綿狸

狸の一種で綿の塊に化けて道に転がる。どういうイミでそんなイミのないことをするんだろう。狸って何かバカ。狐に負ける訳だ。

チェシャ猫

アリスの物語の化け猫。

チェッシー

けっこう著名なカナダの水竜。UMAの代表格だ。

地仙

唐の開元年間の流言によると、キョウ人(ミイラ)が地中に有ること一千年、墓が崩れたので復活し、五穀を食せず、水を飲み風を吸うのみ、時人これを称して地仙といった。地下に金玉の積もっている証拠だと言う者もいた。「太平廣記」より。俗に天に昇れぬ仙人のなれの果てともいう。

チツ龍
龍に「成る」という考え方は日本にも伝わってきているが、日本では法螺貝
などが原形になっているのに対し中国では実に様々なものがその「原形」と
なりうるとされていた。この話しでは燐光を発するナメクジのようなものが
本箱から這い出てきて盆の上に居座る。その這い筋、盆が黒く焦げていた。
「これは龍に違いない」と盆を掲げて雨降る外に差し出すが、「それ」は
動こうとしない。「さては私の作法が気に入らないか」と引き返すと、服から
何から整えて、再度うやうやしく外へ差し出す。すると軒下まで来たときに
「それ」は首を挙げて身体を伸ばし、盆から跳ねて飛び上がった。シュッと
いう音がして、糸のような光をあげて数歩先まで離れた。振り返った「それ」
の頭は甕より大きく身体はもう数メートルにもなっている。再び向き直ると
龍は雷と共に空へ昇っていったのだった。
中国では龍は色々なところから小さな形で出てきて、巨大化して昇天する。
また、龍は非常に恐れられてもいたようである。時に神霊として扱われること
もあったようだ。

チペクウエ
かつてサーベルタイガー(氷河期の大虎)の生き残りと騒がれた十九世紀冒険
時代の産物のひとつ。今では現実的な説が幾つか唱えられているらしいが定か
でない。

チュッテキ
山海経にある両頭のへんないきもの。

チョンチョン
南米の首化け物。首しかない、首が抜ける、首が内臓まで引きずり出して夜空
を舞う、世界的なイメージだ。

つくもがみ
品物永年経て生命を得る。たいていはおかしな器物の怪。小さな武士に成ったり
するのもある。

つちぐも
つちぐもは大和民族に対する被征服民族(アイヌかもしれない)の残党とされる
こともあるが、一般には蜘蛛が永年をへて人を食らう大グモと化す、とされる。

強蛙
その意気だけで小動物を弊するカエル。

つるべおろし
特定の樹から炎のかたまりが垂がる。「垂がり」系のおどかし型妖怪のひとつ
だが、その出方には論理的な意味がありそうだ。

ティーケトラー(茶沸かし)
アメリカ開拓時代のホラ話のひとつ。紅茶を沸かすような声をあげる怪物という。

デイビイ・ジョーンズ
海の男が死ぬと海底に沈んでデイビイ・ジョーンズの木箱にしまわれてしまう。
イギリスの伝説。Soul Cageを貯め込む海坊主だ。スティングの曲参照。

テドワースの鼓手
「音だけお化け」といえば「七不思議」の「狸ばやし」だ。この無人の鼓笛隊も
不気味でイミのわからぬところがいかにも妖怪だ。

天狗
難しい。神神の要素をさまざまにとりこんだイメージを持つが、修験者もしくは
仙人のようなものを元は言ったようだ。

天火
気の弱い人魂のようで半鐘を鳴らしたりタイコを打ったりすると逃げ去る。

瞳人
むやみにジロジロ見るのをいさめるための話しであろうが、ある人が他人を
ジロジロ見ていたら、無闇に見るなと言われた次の瞬間、視界から消えた。
次の日から目に曇りが現われ、遂に両目が見えなくなる。しかし或る日鼻から
小人が出て来る。両目あわせて二人、である。そのとたんに両目が開いたが、
再び小人が入って来ると曇る。二人の小人は両目にそれぞれ棲みついて、
会話を交わすが、ふと或る日、片目の小人が、出口が狭いので出にくいと言い
出し、もう片目に移住する。するといなくなった方の目の曇りに二つの小さな
孔がひらき、やがて黒い瞳がふたつ出来て、何とか片目は見えるようになった
そうである。
話の因果が今一つハッキリしないのは中国や江戸の古事によくあることだが、
この話も、はたして小人は何だったのか今一つハッキリしない。しかし、中国
の古には目の病は目に何かが棲んでいるせいだとの考え方があったようだ。

頭陀
面目獰猛、歯は鋸の如く、小児の足をかむ。
塚に出没する髪を被ったキョウシの一種。
大きな爪で威嚇をする。人を追い食らうとも
いう。

トッカッピ
女の月経の血が箒につくと化ける。あるいは古道具が鬼化して成るという。
色々な悪事を働くが特に多いのは火で家を焼くことである。原因がわからずに
出火するのはこいつのしわざという。しかしこの鬼の友人になると、金を
持ってきてくれるので、強欲の者はこれをまつる。でも一回でも仲が悪く
なったら最後、もうけさせた金を全て持ち去るので、トッカッピから金を
得た者はすぐ田地田畑に替えて持ち去られないようにする。するとトッカッピ、
その田畑の四隅に棒杭を立てて作物がとれない呪いをかける。なんだか人間
臭い妖怪だ。婦人をたぶらかすこともあるが、応じた者は金持ちになり、
拒む者は貧乏になるともいう。
この苦手は驢馬である。驢馬の喚声をきくとすぐに逃げ去る。ゆえに朝鮮の
田舎の金持ちは驢馬を飼う者が多いのだ。

ドラゴン
西欧の竜は様々な様相を呈す。知的な王もいれば、巨大なワニもいる。

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