<東京窟めぐり4>

長谷寺弁天洞窟

大和は初瀬の長谷寺と「兄弟仏」を安置する、逗子も程近い鎌倉の長谷寺。大和のものとクリソツの巨大な本尊(実際はその胎内に収められているのが、大和と同じ木より彫られた伝説を持つものらしいけれども)の金色の輝きが有名ですが、花のお寺としても知られ、また山の中腹にあるので海岸一帯の良く見渡せる風光明媚な観光寺として外国人の人気をも集めています。ここには水子供養の地蔵群や民間信仰の社、古い五輪塔群などやや不気味さの篭ったものも多いのですが、最も異彩を放っているのがこの弁天窟でしょう。時代的には新しいようですが、大きな石彫の乱立する広場や、其の奥の迷路か地下要塞のような回廊など、戦時中の防空壕のように一種異様な空気が感じられます。写真の中ぐらいに挙げた2枚はとくに異様だと思ったもので、奥の一室に金色の小さな戴納仏が無数に並べられています。壁のクラックにまで乱立し、観光客も足を止めず逃げるように去る人が多いように感じました。信仰は本来善い感情に基づくものでしょうが時折恐ろしげな鬼気を感じることがあります。左の写真は何故か道祖神像です。穴の中の道しるべ、何か異界性を感じます。一部石造修理中。長谷寺としての拝観料が必要。