<東京窟めぐり3>

江ノ島弁天洞窟

浜辺と砂洲で繋がった江ノ島の裏は断崖になっていて、いくつかの海食洞が口をひらいています。そのうち特に大きな洞窟がふたつ、奥深く鎌倉室町の古から裸弁天の像がまつられ漁師たちの厚い信仰を受けていました(現在は神社の方に保管、国指定重要文化財)。それが日本三大弁天に数えられる、有名な江ノ島の弁天洞窟、写真の上2枚がそれです。見て解かるとおりとても大きなものですが良く整備されていて(10年くらい前までは崩落の為立ち入り禁止でした)、右の第2洞の奥では龍のおもちゃと雷の仕掛けがありエンタテインメント性を醸し出してユーモラスです。一方メインの第1洞は陰気な雰囲気があり、奥深く石仏が居並んでいます。どれも江戸時代のものですが、写真を見てわかるとおり、暗い洞内ではかなり不気味です。右中は不吉な姿をさらしていますが弁財天の化身の蛇神像、もしくは宇賀神です。関東で水のある地域には大抵祭られているメジャーな神像で、特に鎌倉あたりには多く見られます。左下の写真には東京近郊の墓場でよく見られる如意輪観音の石仏も見えます。こういった像がかなり安置されています。奥の方はまるでしょう乳洞のようで、暗い闇がどこまで続いているのか想像を膨らませられます。さあ明るい表に出ましょう。外海に洗われる岩礁の中に、半ば海没した亀の像が見えます(右下)。亀石です。干潮時だけ波上に姿を顕します。江戸時代の彫像です。江ノ島の物見遊山は変化に富んでいて、きっと想い出に残るものになるでしょう。拝観料が必要。